翻訳問答2 創作のヒミツ
鴻巣 友季子 / 本
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翻訳問答2 創作のヒミツ の詳細
この本を見つけたり読んだりすることにした場合は、翻訳問答2 創作のヒミツの詳細を以下に示しますので、参考にしてください。
タイトル
翻訳問答2 創作のヒミツ
作者
鴻巣 友季子
ISBN-10
4865281320
発売日
2016/1/20
カテゴリー
本
ファイル名
ファイルサイズ
26.42 (現在のサーバー速度は20.73 Mbpsです
翻訳問答2 創作のヒミツオンラインブックダウンロード - 内容紹介 あの名対局から1年! 今度は、てごわいオールスター小説家軍団と真剣対局! 水村美苗、奥泉光、角田光代、星野智幸、円城塔 を相手に、鴻巣友季子がプロの翻訳家のプライドをかけて、いざ勝負! 『吾輩は猫である』『竹取物語』『雪女』『嵐が丘』『アラビアンナイト』が人気小説家による新・名翻訳で生まれ変わる! 読み手・翻訳者・創作者の3役を演じて見えてくる言葉の奥深さ…物語が生まれるとき、作家のアタマの中ではこんなことが起きていたなんて![目次]はじめのごあいさつ翻訳問答ルール・奥泉光 I Am A Cat あいあむあキャット/キャット・イン・ザ・ライ/私、猫なんです・円城塔 The Bumboo-Cutter and the Moon-Child 竹刈り人と月の子供/バンブー・カッターと月の娘・角田光代 The Snow Woman 雪女/雪女/雪女・水村美苗 Wuthering Heights 嵐が丘/嵐が丘・星野智幸 The Arabian Nights 『アラビアンナイト』より「漁師と魔神」/亜羅毘暗那威斗/千夜一夜物語 内容(「BOOK」データベースより) 今度の対局は、てごわいオールスター小説家軍団!「吾輩は猫である」「竹取物語」「雪女」「嵐が丘」「アラビアンナイト」人気作家による古典文学の新・名翻訳選!創作と翻訳の役に立つ名言続出! 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 鴻巣/友季子 東京生まれ。英語文学翻訳家。お茶の水女子大学修士課程在学中より翻訳・文筆活動を開始。毎日新聞書評委員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
カテゴリー: 本
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前著の翻訳問答については、鴻巣友季子氏が翻訳者として先輩にあたる片岡義男氏に遠慮していて、やや一方的な対談と感じさせる部分もあるといったカスタマーレビューを書いたが、続編にあたる本書では、鴻巣氏もずっとリラックスして、対談相手と伸び伸びとキャッチボールをしつつ、自分の考えを述べているという印象を受けた。この差は、設定の違いによるところもあるだろう。今回も作家との対談だが、取り上げた作品ごとに相手が異なり、各氏が持ち味を生かした訳をしている。鴻巣氏も、作品にあわせて文体を決める翻訳家ということなので(この点で片岡氏は対照的といえる)、いわば自分の土俵で対談を進めることができる。題材も、英米文学ばかりだった前著と異なり、「竹取物語」や漱石の「吾輩は猫である」の英訳、ハーン(小泉八雲)の「雪女」など日本の作品が多く、内容的にもより遊び心が許されるものになっている。鴻巣氏が文体の異なる2つの訳をつけている場合もあり、日本の作品は翻訳に加えて原文も掲載されているので、3通り以上の日本文を比べて(原典と英訳とのズレも含めて)楽しむことができる。こうしたことから、日本語のおもしろさや多彩さがより浮き彫りになっているように感じられ、英語にそれほど大きな興味がない読者でも肩の力を抜いて読めるものとなっている。先に読むとしたら、やや構えたところのあった前著より、むしろこの続編の方がおすすめではないかと思った。本書のタイトルが「こんにゃく問答」にちなんでいるのであれば、ますますそう感じる。そうした中で、本書に重みを加えていると思ったのが、前著に続いて選ばれたブロンテの「嵐が丘」を取り上げたパートである。鴻巣氏は全編の翻訳をすでに出版しているし、対談相手は著書「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」で論議を呼んだ水村美苗氏だ。ここでは、水村氏の作品や日本語・英語について真剣なやりとりも展開されていて読み応えがある。また、硬めのこの対談は最後から2番目に置かれており、続く最終パートは、「アラビアンナイト」の英訳とスペイン語訳からの日本語訳を比較するもので、再び軽みを感じさせる内容で全体が終わっている。これは編集者のアイデアだろうか、全体を通読する上でうまく考えられた構成だと思った。題材のひとつ「竹取物語」では、英訳の "the Princess shining in her own radiance, bright and wonderful and full of beauty" を、鴻巣氏は比喩と解釈し冗長に感じるとして、「まばゆいばかりの美ぼうにかがやく」とまとめた訳にしているが、もっと忠実な訳をつけた対談相手の円城塔氏は、これは比喩ではなく、ほんとうに自分から光り輝いていて、その輝かしい光が美しい、だからすべて必要な語と考えた、と述べている。これについて鴻巣氏は「衝撃の事実ですね」「文系とは読みがちがいますね」(円城氏は理系出身)としきりに感心しているが、この英文を読んで実際に光り輝いている情景しか浮かばなかった私(文系)にはちょっと不思議だった。もちろん、私の英語力では単純に字面どおりにしか読むことができないからで、当然ながら鴻巣氏や円城氏のような考察はまったく思いつかなかった。こうしたことを考えながら原文を読みこんでいるとは、なるほどプロとは凄いものである。ところでひとつ目の対談で、人称代名詞の処理について鴻巣氏は、メルヴィルの「白鯨」の有名な出だし "Call me Ishmael." を取り上げて「me をわざわざ訳した翻訳を思い出せません」「これは英語の人称代名詞をいちいち日本語にすると、そこで文章がブロックされてしまうから」だと述べている。ところが、私はこの冒頭に興味を持って過去の翻訳を比べて自分のブログに書いたことがあるのだが、「わざわざ訳した翻訳はない」どころか、実際には、「イシュメール、これをおれの名としておこう」「わたしのことはイシミアルと呼んでもらいたい」などなど、見た範囲では訳しているケースの方が多かった。翻訳で「人称代名詞をいちいち訳さない」ことが多いのはその通りだとは思うが、適切な事例とはいえないだろう。本当にそうした例が過去の「白鯨」の翻訳にないのか、調べればすぐにわかることであり、記憶だけで断言するのでなく、活字にする段階でご本人あるいは編集者がしっかりと事実関係を確認するべきだったのではないだろうか。そうしたことはともかく、巻末の広告では「3」の刊行が予告されており、次はどのような趣向を凝らした対談となるのか、今から期待したい。
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